North Plain Farm-ノースプレインファーム オフィシャルサイト|北海道興部町から新鮮な牛乳・乳製品をお届けします。 » 生キャラメルへの想い

このところの生乳不足からは想像もつかないかもしれませんが、酪農業界では、過去に生乳の生産調整という苦い経験をしています。
生乳の需給バランスにより、その生産量を調整されるという出来事が何度かありました。
酪農は、牛という生き物を扱う農業ですので、急に牛乳が多いからといって、搾る量を減らすことはできません。
そのたびに、大事な牛を出荷してお肉にするか、搾った生乳を廃棄することになりました。

2000年前後にも、国内の牛乳が過剰生産となり、生産調整がおこなわれ、
搾ったばかりの生乳の一部を廃棄しなければならないという事態となりました。
当社の農場でも、生乳の生産量が制限され、対応に追われました。
その原因はいろいろありますが、科学的根拠のない牛乳批判や、飲みものとしての消費者の牛乳離れなどによる販売量の減少が考えられます。
このままではいけないと道内の酪農関連団体、酪農家たちが立ち上がり、
「ミルクランド北海道キャンペーン」を展開するなど、牛乳消費拡大を訴える動きが各方面で見られました。



当社は、その頃主に牛乳の宅配を興部、旭川、北見で行っており、売り上げの大半を占めていました。
まさに地産地消、地域で生産された牛乳を地域で消費することを旗印に掲げてそれを実践していました。
しかし頑張りとは裏腹に、宅配の売り上げは食生活、購買環境の変化や少子化に伴い減少の一途をたどることになりました。
会社として生き残っていくためには、新たな基軸となる方向性が必要になったのです。
地産地消は地域で生産されたものを地域で消費することですが、そのかたちとして、地域に住む人ばかりでなく、
ここに住んでいない方に、興部に来ていただくことも対象になるのではとの思いが湧き起こりました。
つまり、ノースプレインファームを、地元ばかりでなく、広く多くの方々に知っていただくことが重要ではないかとの思いでした。
そのひとつの方法が、牛乳を使った新商品開発です。
そこで、当社スタッフ、興部にある大手乳業メーカーの工場長や課長、町内の農業研究施設の方々、
お付き合いのあった道内の大手菓子メーカーとの、牛乳に関する共同研究を始めました。
いろいろな議論の中で、牛乳をたくさん使ったキャラメルも話題となりました。
さらに、代表の大黒がお世話になったある方からの「歯にくっつかないキャラメルを作れませんか」の一言が、
キャラメルの製造販売を決断する後押しとなりました。

アンテナを張っていると、いろいろなところからキャラメルに関する情報が集まってきます。
また、当時いたスタッフが、キャラメルの試作をたくさんしてくれました。
キャラメルは日本では子供のおやつのイメージですが、原材料の吟味や、
作る時の温度を微妙に変えることで、似て非なるものができることがわかりました。
試行錯誤を繰り返し、歯にくっつかない生キャラメルが完成したのです。

原材料に生クリームを使うことで、この食感を得ることができましたが、反面、冷蔵での保管が必要になりました。
キャラメルは常温販売という常識を理解した上で、おいしく、歯につかない冷蔵の生キャラメルを作ることにしました。
レシピは、生乳の生産調整への対策として、生クリームやバターをたくさん使っています。
牛乳をそのまま飲むことに比べ、何十倍もの生乳を使うことができるレシピにしました。
バターは自社工場産ですが、生クリームやバターの原料生乳は、
町内や道内のものを使うことで、地域全体の生乳利用の拡大も意識しています。
同時に、砂糖、蜂蜜などの副原料や、塩、果汁、海藻などのフレーバー原料もオホーツクのよい食材を探し、
できるだけこの近隣のものを使用することで、生キャラメル1個の販売で地域全体が潤うことを期待しました。
こうして、多くの方々のアイデアと地域の生産者の協力が一緒になって生キャラメルは誕生しました。



次に、できたものをどう販売していくかが問題となります。
社内での議論から、限定的に2000個の販売で様子を見てみようということになりました。
販売を始めてすぐによい評価をいただき、消費者のみなさまに受け入れられる確信を持ちました。
またその頃、JR札幌駅の改装にあたり、立地の良い場所への出店の相談がありました。
キャラメル専門店の企画を提出したところ、スムーズに出店が決まりました。
そして2006年12月のオープン。
初日からお客様が溢れ、本当にびっくりしました。
それからしばらくは、製造に追われる日々となりました。
我々の想像をはるかに超える事態に、嬉しさより今後起こる何かに対する不安の方が大きかった記憶があります。
その後、生乳の消費拡大を目指したとおり、各地で生キャラメルを作りはじめるお店が増えました。
それぞれの地域に根ざしたお店が、その地域の特色を生かした生キャラメルを開発しました。
しかし、その後、ご存知の通り、生キャラメルは一過性の、いわゆるブームとなり、一気に販売数は低落してしまいました。
お客様への新しい牛乳の価値のご提案と、地域への貢献が同時にできたものなので、息の長い商品にしたかったです。
残念ではありましたが、結果的にこの生キャラメルブームのおかげで、ノースプレインファームの名前も知られるようになり、
多くのお客様が毎年興部にお越しくださるようになりました。

現在では、直営店のミルクホールで、製造技術を守るために少量の販売を続けています。
ありがたいことに、この生キャラメルを食べたいと足を運んでくださるお客様がいらっしゃいます。
これからも、北海道のよいものとの共演を続け、この思いを伝えることを目指します。